カテゴリー「事務局だより」の12件の記事

2012年12月15日 (土)

筑波山麓の茅葺き民家と茅場/パンフレットできました

茅葺き屋根の手入れに欠かせないのが材料の茅。

やさと周辺ではおもにススキが使われます。

当保存会では茅を中心に筑波山麓の茅葺き民家の営みを紹介するパンフレットをつくりました。

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2012年11月13日 (火)

はつらつ100人委員会のウォーキングをご案内しました

県民の日の11月13日。県内はつらつ100人委員会が企画した「古民家めぐりウォーキング」に同行しました。

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コースは県立フラワーパークから上青柳の往復。まずは高橋久家を門から拝見、

その後、当会会長、木﨑眞家の庭にご案内します。

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木﨑清彦家では、お昼のお弁当を食べる休憩場所として母屋をお借りしました。参加人数は約50人。

60歳代、70歳代とはいえ元気な方々とお話ししながらの散歩では、ガイドのこちらも元気をいただきました。

2012年11月 9日 (金)

筑波流茅葺き職人の廣山美佐雄さん。国の卓越した技能者表彰を受賞

筑波流茅葺き職人の廣山美佐雄さん(80歳)は、やさとをはじめ、茨城県周辺の現場で活躍し、

常陸風土記の丘の茅葺き後継者育成事業では、弟子たちへの指導も行っています。

トオシモノや大名ぐしなど高度な技巧が特徴的な筑波流を受け継ぎ、技を高めてきた現役の職人として、

長年の仕事が評価され、厚生労働省の平成24年度卓越した技能者表彰を受けました。

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卓越した技能者は「現代の名工」の通称で知られ、

金属、機械、自動車、染色、服飾、建設、造園、木工、理美容、調理などの

技能分野で、優れた技術を持ち、現役で活躍しながら、その継承にも貢献している人が選ばれます。

本年度は全国から各分野の計150人が表彰されました。

11月8日に都内のホテルで行われた表彰式では

厚生労働副大臣の西村智奈美氏が挨拶、賞状を授与。

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茨城の風土のなかで長年磨かれてきた筑波流の仕事が

全国に誇る職人技として評価されたのはすばらしいことです。

おめでとうございます。

2012年10月25日 (木)

サイクリンググループの案内しました

シルクロードを自転車で走るほか、月に何度かあちこちをサイクリングしている

シルクロード雑学大学のみなさんが、やさとの茅葺きを訪ねるということで、

一緒に走ってきました。一行は土浦から旧筑波鉄道の線路が自転車道になった「つくばりんりんロード」で

筑波山南麓の北条へ。ここからサイクリストに人気の不動峠を越えて、やさと入り。

当事務局は、いちごハウスが並ぶ辻集落の、坂入家で午後イチに待ち合わせて合流しました。

観光イチゴ園「丸坂」を営む坂入家の母屋は、国の登録有形文化財。

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その後、フルーツラインを走って上青柳地区へ。木﨑眞家でおばあちゃんと記念写真。

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木﨑清彦家の虚空蔵堂。

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クルマのほとんど通らない田舎道をたどります。

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茅葺きの家でゆっくりしていたら、浦須の佐久良東雄生家を出る頃には夕暮れに。

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こののち大場家をまわったのち、国民宿舎つくばねのバス送迎を利用して、

山の中腹の宿に泊まるプランでした。翌日は加波山周辺の尾根沿いに伸びる舗装の林道を走ったとここと。

60歳~70歳代中心のみなさんには、自転車って年齢関係なしに楽しめるんだなと

サイクリング好きの事務局としては、嬉しい気分になりました。

 

2012年10月 9日 (火)

高エネルギー加速器研究機構の茅生育状況を見て来ました

毎年12月に「筑波山麓茅刈り隊」として構内のススキを刈らせていただいている、つくば市の高エネルギー加速器研究機構KEK。

今年も例年どおり、ご協力くださるとのことで、茅の生育状況の視察と打ち合わせに伺いました。

最先端の素粒子物理学研究を行う機構内には一周約3kmにおよぶ加速器のトンネルが回っています。

世界中から研究者が集まる施設だけに、入り口近くには研究棟や事務所などのほか、食堂や売店まで多くの建物がありますが、

東京ドーム33個分、約150haの敷地面積から見ると、建物があるのはわずかで、多くが草の生えた空き地のように思えます。

ふつうの土地なら、もったいないので畑にしようなどと思うですが、ノーベル賞科学者も輩出した国の誇る重要な研究施設だけに、

近所の農家に地面を貸すわけにもいかないのでしょう。

かといって、生い茂る雑草を放置するわけにもいかず、機構では造園業者によって除草など管理を行っています。

こうして毎年定期的に草刈りした敷地内には、一年草であるススキが毎年生える場所ができました。

温帯の日本では草刈りをしなければ、土地の生態系は遷移を進めて、草地には灌木が入り込み、

さらに大きな木が育って、やがて林へと姿を変えます。

しかし、毎年草を刈ることによって、遷移は進まずにススキの原は毎年繰り返しススキを生やすわけです。

屋根などに使う茅を得るために、毎年意図的に人手が入って遷移を止めた場所が茅場。

そして高エネ研では敷地管理の結果、私たちが茅刈に入る以前から茅場に近い状態が保たれていました。

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とはいえ、ススキの原も実際に屋根材に使う茅として見た場合、ツル性のクズや、セイタカアワダチソウ、アシなど

ススキ以外の屋根材には適さない植物が混在することも多く、曲がりのない素性の良いススキが密生するところは少ないもの。

そこで私たちは、構内を事前に下見をさせていただき、とくに刈りやすい場所を選んでいます。

管理を進める造園業者にも協力していただきながら、選んだエリアのみ、草刈りせず12月まで残してもらっているわけです。

刈り取りに適した場所は毎年だいたい同じで、広い構内のうちの約2haほどにしかすぎません。

このエリアについてはクズの進入を防ぐため早い時期に薬剤散布を行うなど、高エネ研にご協力いただいています。

また、毎年の刈り取りにより地力が低下しているためか、ススキの生育が衰えがちなので、肥料成分の散布なども検討しています。

河川敷の茅場などでは刈り取り後に火入れを行うなどして地力低下を防ぎますが、研究所で火入れするわけにはいかず、

それに変わる方法が必要なのでしょう。

12月の茅刈りに来られる方からは、「生えてくるのを業者が処分する変わりに、刈ってあげているのでしょう」と

尋ねられることがありますが、そう単純な話ではなくて、高エネ研にはいろいろとお世話になって成り立っている「茅場」です。

やさとの茅葺き民家では、本当に助かっています。ありがとうございます。

2012年10月 1日 (月)

ふるさと文化財の森システム推進事業

筑波山麓茅刈り隊や、やさと茅葺きサイクリングなど、今年9月から3月に当会が行う企画の多くは

文化庁の「ふるさと文化財の森システム推進事業普及啓発事業」として行っています。

文化庁HP http://www.bunka.go.jp/bunkazai/hozon/system.html によると

国宝や重要文化財などの文化財建造物を修理し、後世に伝えていくためには、木材や檜皮,茅,漆などの資材の確保と、これらの資材に関する技能者を育成することが必要です。このため文化庁では、文化財建造物の保存に必要な資材の供給林及び研修林となる「ふるさと文化財の森」の設定、資材採取等の研修、普及啓発事業を行う「ふるさと文化財の森システム推進事業」を実施しています。

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これを、やさと茅葺き屋根保存会の活動にあてはめるなら、

「筑波流の茅葺き民家には文化的価値のあり、これを後世に伝えていくためには、茅場と茅刈りの継承、

茅ごしらえなど民家における屋根仕事の存続、茅葺き職人の育成などが必要で、さらに、こうした営みを応援する人を増やすため

営みを広く知ってもらうべく、さまざまな活動に取り組んでいきましょう」という趣旨です。

期間中のイベントは、参加費を抑えて実施していますが、これは保険料や事務経費などを普及啓発事業の

受託費よりまかなうことで可能となっています。

参加いただいたみなさんは、体験を通じて茅葺き屋根の営みを知り、その体験から得た感想をまわりの方にも広めてくれるでしょう。

それは文化的価値を後世に伝えるための大きな力に違いありません。

茅葺き屋根に直接関わる私たちは、みなさんの声にいつも励まされています。_mg_2488

2012年4月 3日 (火)

常陸風土記の丘で茅葺き職人の後継者を募集中

 茨城県は関東の茅葺き王国と呼ばれるほど、民家や文化財など数多くの屋根が残り、保存継承のためには地元の葺き方を知る職人の存在が欠かせません。
 しかし、日本一とも称される技巧を持つ筑波流の茅葺き職人は、高齢化が進み、現在、親方と呼ばれる熟練者は数人になっています。
 歴史体験公園で知られる常陸風土記の丘は、約20棟を持ち、これまで2人の20歳代後継者を育成してきました。

 平成24年度には、新たな茅葺き研修希望者を募集します。定員は2人。風土記の丘の臨時職員として、茅葺き職人親方のもとで実地研修を行います。
 雇用条件、待遇など、詳しくは直接、風土記の丘事務所までお問い合わせください。

※ホームページは右のリンクをクリックしてください。

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石岡市常陸風土記の丘

財団法人 石岡市産業文化事業団
〒315-0007 茨城県石岡市染谷1646  TEL:0299-23-3887

2012年3月 2日 (金)

関東の茅葺き王国・茨城の不思議/塙家住宅

やさとの北隣の町、岩間(笠間市)には、国重要文化財の塙家住宅があります。
当保存会でもお世話になっている茅葺き職人の広山美佐雄さんが
葺き替えなど手入れを行っていると伺って、見学に訪ねてみました。

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江戸時代に建てられた家屋は、主屋と釜屋が隣接する別棟の、「分棟型」と呼ばれるもの。

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説明を読むと、このタイプが、いわゆる「黒潮のみち」に沿って分布していることが分かります。

だとすれば、茨城でも海岸沿いや霞ヶ浦沿いにあってもよいはずですが、内陸にみられるというのは、たしかに謎です。
たまたまこの建て方の得意な棟梁が流れてきたのか、
こちらの地元の人がどこかで見てきて真似したのが広まったのかな、と想像してみます。

2棟が別棟のため、つなぎめの谷には木製の大きなトイが設置されています。これが昔からのカタチなのだとか。

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なぜ東北から県北にかけて見られるような曲家にしなかったのか。
曲家というのも、曲げた谷の部分は傷みやすく家主と職人泣かせには違いないのですが。

最初は別々だったのが、「これなら繋いじまうべ」と、北に行って発展したのかな……。

じつは茅葺き屋根のつくりも、同じ茨城県内、筑波流といえども、親方によって
仕上げ方が異なります。現場合わせの工夫次第の部分が多いので、
どの親方の下で経験を積んできたかで、やっつけ方が違うのです。
そういうなかで、お互い「俺らがいちばん」と譲らずに競い合った結果、
いろいろなデザインが発達しました。
残された建物を見ながら、昔の人の仕事ぶりを想像すると、
往時の職人のキャラクターまで立ち上ってくるようでおもしろいです。

建物の入り口に据えられていたのは、家主の塙氏による覚え書。

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家人は同じ敷地内の別棟に住んでいます。この建物に居住していたころは、
屋根は続きになり、天井板も付けられ、建具も変えて住みやすく改装されていたのが、
覚え書きからは分かります。文化財となって復元修理が施され、天井板を外し、建物は江戸時代の姿に戻りました。
重要文化財は昔を顧みることのできる残された貴重な展示物です。

一方、人が住み続けている民家は、昔ながらの姿をとどめているわけではなく、
そこからは昔を正しく知ることはできないかもしれません。
けれども、今風に変えるところは変えながらも、雨漏りの心配をしつつ
毎年茅を刈りに行く暮らしが続けられていることもまた、ひとつの価値だといえるのでしょう。
ただし、そうした暮らしが続くのも、いまが最後の世代。
20年後の日本では、茅葺き屋根といえば展示物の重要文化財ばかりになっているのかもしれません。

2012年2月13日 (月)

琵琶湖周辺の葦刈り取材

やさと茅葺き屋根保存会では協力してススキを刈り取っています。
刈り取りのようすは1月UPの記事に紹介しましたが、ほかの地域ではどのように刈っているのか、
自分たちよりも効率よく安全な方法はないのか、興味のあるところです。
先日、事務局スタッフが雑誌取材の仕事で、琵琶湖の葦刈りを見てきました。その報告です。

場所は琵琶湖につながる内湖のひとつ、西の湖です。
ここは昔からの葦の産地。すだれに加工して京都をはじめとする消費地に出荷してきました。
伺ったのは葦すだれを生産して4代目になる葭留さん。
すだれの需要が中国産に押されて激減したいま、
刈り取った葦は葦屋根葺きを主力に活用しています。

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葦は内湖の湿地に生えています。刈り取り期間は1月~3月半ば。
トラクターの後ろに付けた機械で行います。

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トラクターの後ろを4人ほどが歩いて、刈ったそばから葦をかかえて運びます。
トラクターのスピードが速すぎたり、葦を運ぶタイミングが遅れると刈り刃に葦が詰まってしまうそうです。

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4人が交互に手際よく、トラクターのドライバーと息を合わせて作業するのがポイント。
昔ながらの手刈りに比較すれば、作業の効率は数倍アップだといいます。

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稲刈り用のバインダーの刃の大型版といった感じの刃です。牧草刈り取り用の機械だそうです。

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以前に使っていたのは手押しの耕耘機スタイルの刈り取り機。
こちらも働き者でしたが、トラクターのパワーには負けます。

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刈り取った葦は、オギ(アシと呼ばれます)などを除いたのち、束ねて倉庫に運びます。

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倉庫では葦原で除ききれなかった草を取り去り、葦の太さ揃えて束ね直します。

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ここでは結束機を使って、プラスチックのテープで束ねていました。

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太く長いものは長いまま束ねて、暗渠などにも利用します。

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屋根で使いやすいように、2尺5寸、3尺は差し葦用、
3尺・4尺は葺き替え用、穂のついたものは4尺、5尺に切り分けておきます。

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束ね直し、切り分けるのは、筑波山周辺では茅ごしらえにあたる作業。
これを済ませたものを、倉庫に山積みしてストックします。

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近所の神社の屋根。葺き替え後6年が経過しています。
葦屋根の葺き替えは煙でいぶさない現代でも20~25年だそうです。
よしず需要が少ないいま、屋根にも上質の葦が使えるようになり、葦屋根の寿命は伸びました。

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厚く葺かれた軒。ちなみに刈り込みにはハサミでなく、
仕事の早いトリマー(サンダーにノコ刃を付けたもの)を使っているそうです。

2012年1月29日 (日)

NHK「小さな旅」で、やさとを紹介予定

NHKの人気長寿番組「小さな旅」で、やさとが紹介されます。
テーマは「茅葺きと有機農業」。どちらも若い人たちが頑張っています。
ぜひご覧ください。

2月5日(日) 午前8時より約25分間
NHK総合テレビにて

茅葺きのようすも放映される予定です。

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