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2011年2月12日 (土)

茅葺き屋根の基礎知識

Q 夏涼しく冬暖かいって本当?

 茅葺き屋根は空気層を持つ自然素材が50cm以上も重ねられているうえ、水はけをよくするため屋根の急勾配が求められ、結果として屋根裏にも大きな空間を持っています。このため夏は太陽からの輻射を室内に伝えにくく、茅葺き屋根ならではの涼しさをもたらされます。
 屋根の断熱性は冬の寒さにも有効です。ただし茅葺き民家の多くは、床下や窓、壁、天井などの断熱が施されていないうえ、すきま風もある昔ながらの建物のため、断熱性能の優れた現代の家屋と比較すると、驚くほど寒い家です。
 冬の寒さは断熱に留意したリフォームによって大いに改善されます。とはいえ、たいていの茅葺き民家では家屋内の全体を暖房することはなく、一部屋に家族全員が集まって過ごす、こたつを利用するなどの生活様式が保たれています。このため家屋内すべてを暖房する現代の家と比較すると、建物の省エネルギー性能は劣るものの、冬のエネルギー消費量は意外に少ないとの調査結果もあります。

Q 茅葺き屋根の耐用年数はどのくらいですか?

 ススキを材料にした主屋の場合、以前は一代に一度、つまり25年前後で葺き替えるといわれていました。ただ、かまどや囲炉裏が使われなくなって家屋内から煙が消えた、現代の茅葺き民家では屋根の寿命が縮み、15年前後で葺き替え時期を迎えます。

Q 屋根の葺き替えは何年に一度するのですか?

 この地域の茅葺き屋根は、ふつう屋根全体をいっぺんに葺き替えることはしません。まずは日が当たらず乾きにくいためもっとも傷みやすい北側。そして南側と棟、東と西などと分けて行います。いっぺんに葺き替えるための大量の茅を確保するのは難しいからです。
 また茅葺き屋根は、もともと材料にもムラがあり、弱い部分から先に傷みます。鳥による被害も目立ちます。屋根の中の虫をついばんだり、巣の材料として目を付けたりするのです。こうした部分が穴や溝になり、やがて水が集まって染みこみ、放置すると大雨で急激に傷み、あっという間に雨漏りに至ります。
 屋根を観察して痛んだ部分を見つけたら、その部分に茅を差し込んでふさぎます。これを差し茅といいます。差し茅は自転車のパンク修理のようなもの。チューブが古くなるとパンクも増えるので、やがてチューブを交換するわけですが、屋根の場合も同じです。葺き替えて5~10年ほどは、屋根も丈夫で差し茅の手間もそれほどいりません。が、それ以上になると数年に一度は差し茅が必要になり、いよいよ葺き替えの時期を迎えるのです。
 そういうわけで耐用年数15年といっても、実際のところは屋根の部分ごとに葺き替え時期が異なるうえ、細かな補修も加わるため、安心できる期間はほんの5年ほどでしょう。あとの10年は常に差し茅や葺き替えをしているような感覚。茅はできれば毎年少しずつ刈り取ってストックしておかないと不安です。茅を刈り、束ね直して準備する作業は年中行事として毎年行います。それが理想的な茅葺き民家の暮らし方です。

Q 囲炉裏やかまどのある家はありますか?

 水分を吸って湿った屋根にはヤスデやダンゴムシ、カブトムシの幼虫なども発生し、屋根の傷みを助長します。囲炉裏やかまどの煙は燻蒸効果で虫を抑え、屋根を守っていました。とはいえ現代では、毎朝火をおこし、煙の充満する家屋で生活するのは困難です。石岡市内の茅葺き民家では、かまどを使っている家はなく、イベント用として土間に囲炉裏をしつらえているケースを除き、昔ながらのスタイルの囲炉裏も残っていません。

Q 近所で協力して葺き替えるのですか?

 集落内の家屋の多くが茅葺き屋根だった頃は、共同の茅場を持って集落の各家が順繰りに利用したり、葺き替えをする家には茅を持ち寄って手伝うなど、近所や親戚同士による「結い」が営まれてきました。屋根葺きは職人の「茅手」を中心に行われましたが、茅を運んだり屋根上で古茅を片付けるなどの雑用をこなす「手元」「地走り」には家人をはじめ、近所や親戚が当たったのです。
 現在残る茅葺き屋根は集落内で1、2軒のため、ご近所や親戚によるお互いさまの「結い」は行われていません。手元や地走りは家主が日当を払って近所の経験者を依頼したり、職人が手元、地走りまで手配するケースも増えています。
 茅刈りについては、「やさと茅葺き屋根保存会」が呼びかけるボランティアによる「筑波山麓茅刈り隊」が、市民参加型の新しい「結い」となっています。

Kayagarimiwa  

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